あの絵を肴に

美術館愛をお酒を片手に語っております

故郷で奈良さんを観る

7000回も雷を落とした超巨大積乱雲が迫り来るあやしい天気の夕暮れに、なかなかのキツさと評判のあの坂を上って行って参りました。

豊田市美術館奈良美智さんの「for better or worse」展。

 

 ホラがんばっておのぼんなさい、この坂をのぼればお目当のものがありますよ、と言わんばかりの坂の隣の道案内。

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坂をのぼりきったところに、正面入り口よりもちょっぴりとひっそりとした佇まいの出入り口。

この頃はまだお空は晴れてる感はあったのですよ。

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チケットを購入して、早速展示へ。

他の観覧者から作品が少ないという声もあるようだけれど、私には一つ一つの作品を大事にした、とても印象に残りやすい展示のように思いました。

だいたい、一つの壁に対して一つの絵。

次から次へと追われる感のない展示。

じっくりと、絵の女の子、あるいは男の子と対峙できます。

 

ササっと描かれたようなドローイング。

一本の何気なく描かれたような線が、いろんな楽器の音色の集まりよう。

いつも思ってることだけど、奈良さんの、絵のタイトルのつけ方、とてもすきです。

 

キャンバスに描かれた絵はとてもシンプルで、絵の中の女の子や男の子は本当にかわいいのだけど、その中にこの星の上で起こる残酷さや理不尽、怒り、悲しみなどに向き合うとてつもなく多重で濃厚なパワー。

 

一方で、へび少女みたいな子の、まるで竜が住む池のようにどこまでも澄みきった、底なしの愛情のようなまなざし。 

かわいい=うすっぺらい、ていうのは違うよね。

いろんな無限の何かを内包したかわいさ。

 

月の部屋みたいなのがあって、階段のガラスの手すりに反射された二つの月が、湖に映り込んだ月みたいでとても綺麗でした。

 

展示室を移動する最中に実家方面の景色が見える通路があるのですけど、奈良さんはツイッターでもよく故郷のことや地方文化の重要性のことを話されていて、そこに私は共感したりしているので、その奈良展の真っ只中でふっと自分のリアル故郷が見えるという、この通路はなんとも私にとってとても意味のある通路に感じて、これもこの展覧会の大事な展示の一つだな、と個人的には思ったのでした。

向こうの山々の方で雷がビッカビッカ光ってた(光りまくっていた)のも、パンクがすきな奈良さんの展覧会っぽくて良いな、と⚡️

 

奈良さん総特集の「ユリイカ」や「疾駆」も東京でちょっと前に買ってあって予習しようと思いつつ、なかなか読めずで悔やまれたのですが、これから読むのがすごく楽しみです。

 

ミュージアムショップ、いろいろと品切れになったのもわかります、どれもほしい!!

その中からポストカード2枚と、今まさに着てるライトグレーのTシャツを買い、図録も予約してきました!

届くのが楽しみ!

 

もう一つの展覧会、森千裕さんの「omoide in my head」展が思ってたより早く終わってしまうみたいなので予定を繰り上げてきましたが、無事に観れてよかった。

森さんの作品もかわいく、キレッキレで、ユーモアがあって、やっぱユーモアいいよね、あった方がいいよね、センス オブ ユーモアね、と、最近プライペートでも思ってることを改めて思いました。

これからも楽しみな方だと思います。

 

正面入り口の方も撮っちゃいました。
お空がもうちょっとヤバい感じ。
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まだ時間が弱冠残ってて、いまだ行ったことのない高橋節朗館に行こうか迷ったのですが、スーパーセルが近づいてる中、無謀にも傘も持たずに歩いて実家に帰ろうと思っていたので、高橋節朗館はまた次の機会にとっておいて、スーパーセルに追われるようにして足早に坂を下り、7000個の雷を落とした超巨大積乱雲にギリギリ追いつかれないまま家に着き、とてもスリリングな帰路となりました。

母に「傘も持たないでなんで雷雲と競争するの」と言われました。

 

今回は綺麗な庭や池や建物は堪能できず、ほんとはもっとゆっくりしていきたかったな、でも雷と奈良さんと豊田市美術館もなかなか乙な組み合わせのいいタイミングで観れてよかったなー、と、一人で勝手に満足しております。