あの絵を肴に

美術館愛をお酒を片手に語っております

静かな湖畔の森のかげから

 

 

ヒョッコリ。

 

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イギリスの湖畔地方から、ピーターラビットさんがいらっしゃいました!

かわゆいのう。

 

ピーターラビットの作者、ビアトリクス・ポターの生誕150周年を記念して催された今回の展覧会。

Bunkamuraザ・ミュージアム

 

19世紀イギリスで生まれ育ったビアトリクスが、彼女が愛した自然と動物を、子供たちのために手のひらサイズの物語に仕立て上げたのが、ピーターラビットシリーズ。

 

そう、手のひらサイズ。

だから全体的に絵が小さめです。

米粒アートの方なんかもほんとスゴイなって思うんですが、

小さい絵って、

小さい絵って…、

 

ムツカシーですよねー?

そう思ってるの、私だけですかーーー? 

 

「自分、不器用なんで…」て言って許されるのは映画の中の高倉健さんだけだと思ってるので、全く不甲斐ない事だと思っておるのですが、このビアトリクスさんは小さくても正確なバランスで、いとも簡単にスススッとした筆さばきで小さな愛しき者達を描いているのです。

彼女、確かまだ学生の頃に、菌だったかキノコだったかの研究に夢中だったみたいで、その頃に顕微鏡を覗きながら小さい対象物の絵もたくさん描かれたようで、やっぱりこの頃にたくさん訓練積まれてたんですね。

私は訓練が足りてない。

痛感いたしました。(うっかり不器用で済ませようとしていた)

 

そんな彼女の描く絵なので、ただの「かわいいうさちゃん」などではないのです。

博物画のような、確かな描写力というバックボーン。

 

また、展示されてる部屋も木を基調にしていて木の香りも気持ちよく、イギリスの緑に囲まれた、掃除が行き届いた品のあるお家に招待されて絵を観せてもらってる感覚で、とてもリラックスしてしまいました。

Bunkamuraザ・ミュージアムでは以前、レオ・レオニ展で本当にリラックスしきって、寝てしまった事がある。スイミーの特大の水の中の映像とかあって、気持ち良すぎました)

 

「俺たちの国芳・わたしの国貞」展でも思ったんだけど、Bunkamuraザ・ミュージアムの展示室の壁の色のチョイスが私は好きで、今回のピーターラビット展でも、各部屋に入るたびに素敵な展示空間にウットリしました。

部屋の中央にあるオブジェがどれもまたかわいくて、こんな部屋、うちにもあったらなぁ…。

 

さて、自然を描く、ということは、「かわいい」だけではすまされんのです。

そこもさすが、ビアトリクスさん、きちんと描いてらっしゃる。

カエルが主人公の絵本では、カエルがお友達を招いてバッタの丸焼き、それもテントウムシのソースがけ(!)という料理を出してきます。

グロい!

カエルにとってはご馳走、寓話の中のリアル。

うんでも子供、こういうの好きそう。

 

極め付けはコチラ。

ピーターラビットのキャラクター関係図。

 

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ピーターラビット展のフライヤーより)

 

…お気付きでしょうか?

 

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パイ!

ピーターのおとうさんはパイ!!

マグレガーさんの奥さんにうさぎパイにされてしまった!!!

なんというリアル!!!!!

 

こんな自然界のキビシさムゴさもあっさり描いちゃうビアトリクス(しかも物語のイントロで)。

そしておそらく半分以上が「かわいい」目当てでやってきた来館者に、この関係図を「かわいい」の真っ只中に投入してくる学芸員さん。

ただの「かわいい」じゃ済まさんぞ!!という気骨が伝わってきます。

 

実際ビアトリクス自身も気骨のあった女性で、女性が作家として活躍する事がまだ難しかった時代のイギリスに、自ら売り込んで仕事を勝ち取り、自分の作ったキャラクターを守る為に物語のキャラとしては初となる商標登録をし、彼女が愛する自然のために積極的に自然保護活動をしてきた事は、失ったロマンス、実ったロマンスを含め、励まされ、勇気づけられる人も多い事と思います。

 

ちなみにですね、このピーターラビット展の音声ガイドのナビゲーターは、ディーン・フジオカさん。

フジオカさんは、展示の終わりの映像でも登場されますが、綺麗な英語も披露され、なんというか、とても耳障りのいい声をお持ちですね。

(先日「徹子の部屋」で黒柳さんに無茶ぶりされて即興英語ラップを披露されたディーン・フジオカさんにも感心しきり)

私はいつも美術館に行く時は自分のペースで、自分の感じる事を大事にして鑑賞したいと思っているので、音声ガイドは使った事がないのですが(興味がないわけではない)、今回は初めて使わなかった事をちょいと後悔しました…。

一回目ガイドなしで、二回目ガイド付きの鑑賞もいいですね。

そうか、そういう時に年間パスポートって便利なんだな…。

 

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素敵なお声の持ち主のディーン・フジオカさん。

ピーターラビット展のフライヤーより)

 

さあおしまいには、ミュージアムショップが待ってます!

ピーターラビット好きや、かわいい好きの期待を裏切らない、いや期待以上のもの達が、あのつぶらな瞳でお客さんをお迎えしてます。

いろんなものがゆるむ準備をしてくださいね。

 

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