あの絵を肴に

美術館愛をお酒を片手に語っております

国国がみてた

6月下旬までだと思いこんでいたこちらの展覧会。

6月5日までだとひょんな事で知って、慌てて行ってまいりました(なので現在展示はもう終わってしまっております…)。

 

Bunkamura ザ・ミュージアム「俺たちの国芳・わたしの国貞」展

 

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豪気な国芳

 

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粋な国貞。

 

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何度でも見たいこのお二人。

展覧会終盤、そしてやはり人気者なだけあって混雑しておりました。

もうちょっと早目に来ればよかった、といつもの後悔のパターン。

この混雑では自分のペースでは観られないなと思い、まあ何度か観た絵もあるし、と一歩ひいて、絵と、それを観る人々と、会場全体の雰囲気を楽しむことにして、人々の肩越しに国芳・国貞を眺めていたら、とある少女に目が行きました。

セミロングの黒髪の眼鏡。

年の頃はおそらく12、3、4の、華奢な少女の手元。

握りしめた鉛筆を絶え間なく動かし(早!!)、彼女が気に入った国芳・国貞の絵を、左手のノートにもの凄いスピードで描き写していました(うま!!)。

 

少女の猫背の斜め後ろから一瞬で釘付けになっていたのですが、いつまでも張り付いて見てるのも怪しいので、我に返って展示に目をやるも、今この瞬間、少女が何をどう描いているのか気になって気になって。

 

「美味しいもの食べさせてあげるから後でおばちゃんとお話しない?(お友達になりたい)」という口説き文句なんかもチラッと頭をよぎりつつ、彼女と国芳・国貞の蜜月の時間に水を差してはいけないと打ち消して。

ちょっと展示を観ては少女の艶やかな黒髪を探し、手元が見える位置までまたちょっと戻るという(けれど混雑してるのでそこまで辿り着けない)、こうやって書いてても完璧に怪しい人でした自分。

 

展示場の終わりにあるミュージアムショップでレジに並んでた時、後から入って来た少女が何を買うのかも気になってやはり彼女を目で追っかけて(ガチャポンがカゴに入ってた。こういうところ、少女っぽくてかわいい)。

自分の会計が終わって出口の扉を開ける時も「美味しいもの食べさせてあげるからおばちゃんと交換絵手紙しない?(お友達になりたい)」的な口説き文句がまたチラリ頭をよぎり。

 

怪しさ全開。

自分がこんな風に声かけられたら速攻頭の中で警戒アラームが鳴る。

自分の友人達が心配になってくる。

その時手に持ってた名古屋土産をこの後渡す友人も含め、どんな風に友達になったのかもう思い出せない人もいるけど、こんなのと友達になるなんてちょっと警戒心なさすぎるんじゃないのか。

大丈夫かな。

心配だな。

今でも友人でいてくれてるそんな人々に感謝しつつ、やはり我が身も省みずにはいられない。

 

自分もあの子の年齢の頃からがっぷり四つで描いてたら。

いや家では描いてたけど(授業中でも)、もっと所構わず描くみたいなガッツが一瞬でもあったなら、今もうちょっと違ってたんじゃないだろうか。

 

あの子は一生懸命国芳と国貞の絵を観て、描いてた。

一心不乱と言っていい。

私がたびたび彼女を気にしてた事だとか、他の人の目なんかも、ちっとも意に介してなかった。

そんな彼女をぐるりと国芳・国貞の絵が囲んでた。

展覧会から数日経った今思うと、それはまるで国芳・国貞が彼女を見ているようにも見えた。

百年以上経ってもなお、着物じゃないヘンテコなものを着るようになった未来の子供が、自分達の描いた絵を一生懸命観て写して、自分のモノにしようとしてる。

 

きっととても誇らしくて嬉しい事なんじゃなかろうか。

「やっぱり描いてきてよかった、いつの時代にもたくせるヤツがいるんだ」って思うんじゃないかな。

 

あの少女は将来、どんな絵を描く人になるんだろう。

少女の未来に想いを馳せる。

 

展覧会の外に出ると、国芳の猫がいた。

「お前のことも見ておるぞ」と、おどけて言われてるみたいだった。

 

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